法とイラスト

法律の雑記、イラストのアップ、ビールのレビュー等をします。

二次創作についての法律論と創作論

他人の創作に依拠しつつ、新たな創作性を付与した類似の作品を創作すること、またはそれによって作られた作品のことを二次創作といいます。著作権法では「翻案」といい、翻案によって作られたものを「二次的著作物」といいます。

二次創作に対してどう向き合うべきでしょうか。

 

法律論としての二次創作

作品を創作した人は、何か届け出などすることなく法律上当然に、その作品の著作権を取得します(出願が必要な特許権などの権利と比較して、「無方式主義」と呼ばれます)。

著作権とは様々な権利の集合体であり、その権利の一部に「翻案権」という権利が含まれます。「翻案権」とは、著作権者が自由に二次創作をし、また著作権者の同意なく二次創作をすることを禁止する権利のことをいいます。

したがって、著作権者の同意を得ることなく、それに依拠しながら類似した作品を勝手に作る行為は原則として、翻案権侵害すなわち著作権侵害になります。

著作権侵害をした場合、著作権者は、侵害者に対して、侵害の差止めや、損害賠償を求めることができます。また侵害者は著作権侵害罪という刑事罰の対象になる場合があります。

 

法律違反の行為をしてはいけないのは当然です。にもかかわらず、日本では、ネット上で二次創作があふれているし、コミックマーケットなどの二次創作を売買するイベントが公然と行われています(私もいろいろアップしています)。

これはどういうことかというと、著作権者が黙示の同意をしている、または著作権侵害を放置しているということです。コンテンツ業界においては、二次創作が盛り上がることによって、ひいては業界全体が盛り上がり、結局著作権者としても利益を得るという場合がしばしばあります。権利者である出版社などが、コミケやpixivを通じて、同人作家の二次創作を見てスカウトしたり、仕事の依頼をしたりする場合もあるようです。

また、一概に著作権侵害といっても、著作者の利益を害しているとはいえない場合があります。たとえば、企業ぐるみでドラえもんやディズニーのコピー商品を大量に生産・販売・輸出などする場合は、間違いなく著作者の利益を害しているといえます。しかし一方で、一個人が非営利で二次創作物をネットにアップしたり、少額の利益を得て二次創作の同人誌を売るような場面では、著作権者としても仮に損害賠償を求めてもあまりお金をとれないでしょう。

これは、コミケに限られず、あらゆる創作分野に妥当する理屈です。そもそも新規な創作は、誰かの頭の中のひらめきだけで生まれるものではありません。他の創作にインスピレーションを受けて、既存の作品を組み合わせながら、新たな創作性を付け加える中で生まれるものです。したがって、二次創作は創作者にとって重要な活動といえます。ちなみに、フランスではパロディの製作が法律で認められていることもこれのひとつの例だと思います(日本の法律では認められていません)。

そういうわけで、著作権侵害がある意味「横行」し、それが放置黙認されているというのが日本の現状であるわけです。

 

これは法律のたてつけとして望ましくありません。なぜなら、著作権者が一言「認めない」といえば、たちまち、二次創作をした人は著作権侵害として損害賠償をされる危険があるからです。著作権侵害には、著作権侵害罪という刑事罰もあります。このような、著作権者の気まぐれな態度しだいで、二次創作者が何らかのデメリットをこうむる危険がある状態であれば、本来権利者が認め、または認められるべき創作活動が萎縮するおそれがあり、ひいては文化の発展そのものが阻害される原因となります。

 

これに対する解決策としては、第一に権利者が「ここまでは利用していいよ」という態度をあらかじめ明確にするという方法があります。これの例として、クリエイティブコモンズや同人マークなどがあります。

第二に、米国著作権法ではフェアユース規定というものがあります。これは、公正な利用であれば他人の著作物の利用を認める包括的な権利制限規定です。フェアユースかどうかは、(1)利用の目的および性質(2)著作権のある著作物の性質(3)著作権のある著作物全体との関連における利用された部分の量および実質性(4)著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する利用の影響の点を考慮して判断されます。

日本の著作権法上はこのような規定はまだありません。しかしインターネット時代において、他人の著作物を利用するときにいちいち権利者に許諾を得るというのはあまりにも現実的ではありません。こういった規定は必要であるように思います。

 

創作論としての二次創作

創作にはオリジナリティが問われます。

一次創作と二次創作のどちらがオリジナリティがあるかと問われれば、それは一次創作です。二次創作はファンアートの域を出ず、原作品に明示的にあやかっている側面が否定できません。オリジナリティを追求するのであれば、一次創作をすべきです。

ただし、両者の違いは相対的なものといえます。なぜなら、前述のとおり、すべての創作は他の作品から影響を受け、既存の作品の組み合わせの要素を大なり小なり含んでおり、たとえ一次創作であっても誰かの頭の中のひらめきだけで生まれるものではないからです。また、二次創作であっても、完全なコピー(複製、贋作、模写)ではなくて、新たな創作性が付与されるからこそ、創作足りうるからです。

作品を作るうえで一次創作と二次創作のメリットデメリットをまとめると次のようになると思います。それぞれのメリット・デメリットが裏返しの関係になります。いずれにも、それぞれの価値があるように思います。

 

 

一次創作

二次創作

メリット

・二次創作に比べるとオリジナリティが高い

・より自由に自分の追求したい価値を創造できる

著作権侵害のおそれは小さい

・興味を持ってもらえやすい。そのため知名度を得やすい

・既存の作品を元にするため、創作のための負担が少ない

デメリット

・興味を持ってもらえにくい。そのため知名度を得るのはハードルが高い

・自分で一から作品を制作するのが大変

・ファンアートの域を出ず、一次創作に比べオリジナリティの点で劣る

・一次創作をするスキルが身につきにくい

(形式的には)著作権侵害となる場合がある

 

 

BM&BMG

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エフェクトなどもうちょっと入れられたらいいのですが。今後の課題です。

 

www.pixiv.net

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営における「アート」と「サイエンス」』を読んで

 

 

今日はこの本を読んでいました。

書店で、本書のタイトルにある「美意識」という言葉が目にとまり、パラパラ見てみると面白そうだったので購入しました。結果的に、おもしろかったです。どれくらいおもしろかったかというと、私は往々にして本を読むのを途中で放棄する人間なのですが、それでも一気に全部読んでしまうくらいでした。

 

この本のテーマは、経営に携わる人間にも、自分なりの「真・善・美」の感覚に照らして判断する力が求められるということでした。

 

本書はあらゆる具体例から上記を基礎づけるための説明していて、大変多くの示唆がありました。ここで、すべての示唆について触れることはできませんが、最近わたしが本を読んだり人から聞いたりした考えとリンクする部分があったので、それについて書いてみようと思います。 

 

絵はやっぱりいいものだ

まず、お!と思ったのは、アートとサイエンスが個人の中で両立する場合、知的パフォーマンスを高めるという主張です。

では、グローバル企業の幹部候補生は、今日から絵筆を執るべきなのでしょうか?もちろん、その気があるのであれば否定はしません。20世紀の歴史においてもっとも強力なリーダーシップを発揮した二人の政治家、すなわちウィンストン・チャーチルアドルフ・ヒトラーがともに本格的な絵描きであったことは偶然ではありません。

絵を描くことはリーダーに求められる様々な認識能力を高めることがわかっており、実際に自ら芸術的な趣味を実践しているという人ほど、知的パフォーマンスが高いという統計結果もあるのですが、・・・ (p70)

 

ミシガン州立大学の研究チームは、ノーベル賞受賞者、ロイヤルアカデミーの科学者、ナショナルソサエティの科学者、一般科学者、一般人 の5つのグループに対して「絵画や楽器演奏等の芸術的趣味の有無」について調査したところ、ノーベル賞受賞者のグループは、他のグループと比較した場合、際立って、「芸術的趣味を持っている確率が高い」ことが明らかになりました。(p213)

 

筆者は、論理的理性的な思考だけでは現実で直面する不安定・不確定・複雑・曖昧な問題を解くことができないので、美意識に基づく直感的な思考が重要である、しかしアートの重要性はサイエンスに比べて軽視されがちである、そこで経営のトップには美意識を備えたアート人材を据えるべきだし、その美意識を鍛えるためにはアートに触れ合うことが有効であるといいます。

ただし、大企業の幹部候補生がいきなり絵筆を取ることは現実的ではないし、絵を描くこと自体を否定はしないものの、それは美意識を高めるための一つの手法にすぎないと位置づけています。筆者は、経営者に対して、本物のアーティストになれといいたいわけではなく、美意識の重要性を強調し、またその醸成のための方法を紹介しようとしています。

 

一方で私はというと、どちらかというとむしろ、ゆくゆくは本物のアーティストとしても活躍したいと考えているので、その意味においては直接に筆者の主張する人物像にはあてはまらないのかもしれません。

 

そういえば、ベティ・エドワーズのデッサン教本『脳の右側で書け』でも、絵を描くという行為は、認知能力を高めるのに役立ち、すべての人間にとってよい結果をもたらすことで、みなが学ぶべきだ、ということが書かれていたことを思い出しました。

確かに、絵を描くにあたっては、その対象を穴が開くほど観察する必要があります。そして、観察をしているうちに、普段見ているつもりでも見えていなかったものが見えるようになる、言い方を変えれば、認識可能な世界が広がるという感覚が得られます。これが、経営におけるイノベーションにも役立つのかどうかまでは今の私には実感としてわかるはずもないのですが、将来私は弁護士事務所を開業し、経営をしたいと思っているので、絵のもたらすポジティブな可能性を信じながら、絵の趣味を続けていきたいと思います。

 

ハムスターになってはいけない

 

話は飛びますが、この間「アニメ私塾」というアニメ絵指導のyoutube講座を見ていると、アニメーターの室井康雄さんが美意識について言及していて、深く共感しました。

室井さんがおっしゃっていたのは、(正確な引用ではないです、すみません)「いい大学入って、いい企業に入って、大金稼ぐ人間を尊敬できますか?僕は尊敬できない。だって、ものすごく早く車輪を回すハムスターと同じじゃんw 僕は、美学とか思想とか持って生きてる人の方が断然尊敬できます」というような内容でした。

 

そして、同じたとえがこの本の中にも書かれていました。

わかりやすいシステムを一種のゲームとして与えられ、それを上手にこなせばどんどん年収も上がっていくというとき、システムに適応し、言うなればハムスターのようにからからとシステムの歯車を回している自分を、より高い次元から俯瞰的に眺める。そのようなメタ認知の能力を獲得し、自分の「有り様」について、システム内の評価とは別のモノサシで評価するためにも「美意識」が求められる、ということです。(p176)

 

「ハムスター」のたとえは、所与のシステムに組み込まれ、無批判にそれに従う人間のメタファーとして用いられています。

室井さんもおそらく、いい大学いい企業に入って大金を稼ぐ人すべてを否定したいわけではなくて、「社会でそれが良いものとされているから」とか、「社会的常識だから」とかいう理由で、自分の行動決定を外部に委ねてしまうような人の象徴的な例としてあげたのだと思います。

 

こういう生き方は、常識にとらわれたつまらない人生になるだけでなく、自分よりえらい人の命令ならばたとえその命令が誤っていてもそれに従ってしまい、結果大きな罪を犯してしまうおそれがあります。本書では、そのことが、ナチス・ドイツにおいて上からの命令に対して無批判な態度で従った結果、効率的なユダヤ人殺戮構造を考案し、死刑となったアイヒマンの例を挙げて説明されています。

 

私は最近、ある友人に出会って反省することがありました。

その友人は、社会に対して強い憤りを持っていて、何事にも批判的である人間です。彼に「君も批判的であれ」と啓蒙されました。

ソクラテスの「無知の知」という言葉はもちろん以前から知っていましたが、彼と接しているうちに、本当の意味で知っていたとはいえなかったのではないかと思うようになりました。というのも、無知の知を知っている人は無知である状態から脱すべく、社会を疑いの目で見て、新たな知識を自発的に得て、自分でその是非を判断しようとするはずなのに、自分はいわゆる「お勉強」と、好きなことばかりして、社会に対してそこまで批判的に生きてこなかったように思うからです。王陽明の唱えた「知行合一」(=知って行わないことは、未だ知らないことと同じ)が胸に刺さります。

常に批判的な目を持たなければ自由な判断はできない、ということを肝に銘じなければいけないなと思いました。

後出しジャンケンの世界

本書の筆者は、現代はシステムの変化がめまぐるしく起き、法律の整備が社会の変化に追いつかない状態となっていると述べています。

このことは、水野祐先生の著書『法のデザイン 創造性とイノベーションは法によって加速する』の中でも述べられていました。

法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する

法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する

 

水野先生の主張は、企業は、法の整備の追いついていないグレーゾーン領域をただ避けるだけでなく、むしろ積極的にグレーゾーンへ足を踏み入れるべき場合もあり、国家のルール創造を待たず民間の側から自発的にルールを創造することができるのではないか、というものだったように思います。

それに対して本書の示唆としては、グレーゾーンが多い時代において達成動機の強すぎるエリートが判断を誤らないために美意識を持つことこそが重要であり、時に大きく踏み外す危険があることを理解することが重要であるということです。

 

両者の主張は矛盾するものではないですし、水野先生がコンプライアンスという英語の原義に遡って説明されていた企業のあるべき姿は、まさに本書の主張と重なる部分があるように思われます。

 

企業も、個人も美意識を持ってこそ変化の激しい社会で輝くことができると肝に銘じて、方向を見失わずにがんばって生きたいなと思います。

ブラックマジシャンガール②

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下書きその2。一体追加しました。

何も考えず3体描いてしまいましたが、せっかくなのでカードから召喚されているという設定にしようと考えました。真ん中の人を前に置くか後ろに置くかで悩んでいます。

 

ただ、画面的にあまりインパクトがない・・・のと、見かけ上同一人物が同一空間上に3人も並ぶと、そこはかとない不気味さがただようので、何かしら変更するかもです。

 

あしたから1週間ほど帰省するので続きは1週間後に描いていきます。

ブラックマジシャンガール

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立ち絵の練習(下書き)です。また清書します。

BMGかわいいですね。

【会社法】設立中の会社まとめ(百選5~8)

設立中の会社

 

【論点】設立中の会社の法律関係

発起人が会社設立のために取得し負担した権利義務は実質的には設立中の会社に帰属しており、会社が成立すればそれらは会社に帰属する(同一性説)

 

発起人の行為の分類

 

【論点】発起人の行為4類型

※発起人の権限の範囲につき自己の立場をはっきりさせることが重要(『論文演習会社法(上)』p41)。

自説は、発起人を設立中の会社の執行機関と解し、発起人の権限には下記の①+②が含まれると解する。

 

設立を直接の目的とする行為

 

・定款作成(26)、株式の引受け・払込みに関する行為(36)、募集設立における創立総会の招集(651)

発起人の権限に含まれることは明らかであり、成立後の会社に効果帰属する。

設立のために必要な行為

(※「設立のために法律上・経済上必要な行為」と説明される場合もある)

 

ア 定款認証手数料・印紙税、払込取扱機関に支払う手数料・報酬、検査役の報酬、設立登記の登録免許税

284号かっこ書、規則5条などから発起人の権限に含まれることは明らかであり、その効果は成立後の会社に帰属する。

 

イ その他の設立費用

=上記以外の設立のために必要な行為。設立事務を行うための事務所の賃借、設立事務のための事務員の雇用など。

定款記載(284)、検査役調査(33)が必要となる。

設立費用の総額が定款の記載額を超える場合の法律関係が問題となる。

(⇒定款に記載された額の限度で会社に帰属する。)

財産引受け又は開業準備行為

ア 財産引受け

=会社の成立後に特定の財産を譲り受ける契約。

定款記載(282)、検査役調査(33)が必要となる。

定款に記載のない財産引受けは無効になる。そこで、これを成立後の会社が追認できるかが問題となる。(⇒追認できず、会社に効果帰属しない)

 

イ 開業準備行為

=会社が事業を始める準備として行う行為。会社が成立後にすぐに事業を行えるように、土地・建物等を取得したり、原材料の仕入れや製品の販売ルートを確立しておくなどの行為。

開業準備行為につき、財産引受けに関する28条、33条を類推適用できるかが問題となる(⇒類推適用はできず、発起人の権限外の行為となり、会社に効果帰属しない)

事業行為

→発起人の権限に含まれず成立後の会社に帰属しないことは明らかであるが、取引の相手方が誰に履行や賠償請求できるかが問題となる。

 

 

リークエによる分類=開業準備行為と事業行為は区別できない、という考え方に立つ。

設立を直接の目的とする行為

設立のために必要な行為

財産引受け

財産引受け以外の行為

 

 

設立費用

 

【論点】設立費用(百選7)

定款に記載された額の限度内において発起人のした取引の効果は成立後の会社に帰属し、相手方は会社に対してのみ支払いを請求できる。

 

【論点】では、定款に70万円と記載しているにもかかわらず、発起人がA40万円、B60万円の契約を締結した場合、法律関係はどうなるか。

※下記は自分で命名。若干不正確のおそれあり、百選7の解説等参照。

※リーガルクエストの記載からは下記の①か②が有力とされている。自説は判例に整合的な①を採る。

時系列説によれば、Aが先の場合、会社に対してA40万、B30万請求でき、発起人に対しB30万請求できる。

 

時系列説

全額発起人負担説

全額会社負担説

連帯債務説

行為の時系列によって効果が帰属するかどうかを決する。いずれの取引が先になされたか不明の場合には債務額に応じて按分する。

判例とは異なり、取引債務を負うのは発起人のみであり、発起人は会社に対して定款記載の額を限度として求償しうる。

判例とは異なり、取引債務を負うのは会社のみであり、会社は発起人に対して定款記載の限度として求償しうる。

判例とは異なり、会社は取引債務を引き継ぐが、相手方は会社と発起人いずれに対しても請求しうる。

問題点:

設立費用が定款記載の額を超える場合は、処理が複雑になる。

問題点:

会社が拒んだ場合、設立費用を下回る場合でも会社に対して請求できない。

問題点:

会社の財産形成を軽視している。

問題点:

会社の財産形成を軽視している。

 

財産引受け

 

【論点】定款に記載のない財産引受けは無効となる(28条柱書)。では、会社成立後会社はこれを追認できるか。

 

追認否定説(判例・リークエ)

追認肯定説

実務では、時間のかかる検査役調査は避けられる傾向にあるので、追認肯定説を採ると、財産引受けについて誰も定款記載・検査役調査を行わなくなり、制度が空洞化する。

・会社に有利な取引であれば追認を認めるほうが会社の利益になるし、会社の財産的基礎も害されない。

ただし、事後設立にあたる場合には特別決議、そうでない場合で重要財産処分に当たる場合は取締役会決議を要求すべき。

 

【論点】財産引受けにあたる取引後、長期間が経過した後に会社が無効を主張することは許されるか(百選6)

財産引受けの相手方は、特段の事情のない限り、右の無効をいつでも主張することができる。

もっとも、長期間無効主張しなかった場合など信義則に反する場合は無効主張が許されない。

無効事由について契約後約9年を経て初めて主張するにいたった場合は、法が本来予定した株主、債権者などの利害関係人の利益保護という目的でなく、すでに遅滞におちいった本件契約に基づく自己の残債務の履行を拒むためのものであると認められるから、信義則に反し許されない。

 

開業準備行為

 

【論点】いわゆる開業準備行為に財産引受けの規定(28条、33)を類推適用すべきか。

 

類推否定説(判例・リークエ)

類推肯定説

そもそも定款にどのような記載をすべきかが明らかでない。

・すぐに事業を始めたい者は、むしろ時間のかかる検査役調査を避けるべく、金銭出資のみで会社を設立し、会社設立後に開業準備行為を行う。

・財産引受けは開業準備行為の一種である。

・会社成立時に直ちに事業活動を開始できるようにすることが実務の便宜にかなう。

 

 ※類推否定説の場合に成立後の会社に効果帰属させるには、会社との合意に基づき発起人の契約上の地位を成立後の会社が個別に譲り受けるという方法がありうる(江頭75p)。

 

 

【論点】開業準備行為の効果が成立後の会社に帰属しない場合、発起人は相手方に対していかなる責任を負うか(百選5)

民法1171項の類推適用。

117条は本来は実在する他人の代理人として契約をした場合の規定であるが、同条はもっぱら代理人であると信じてこれと契約した相手方を保護する趣旨にあるため。

 

発起人が権限外の行為(開業準備行為・事業行為)を行った場合の処理

当該行為が発起人の権限の範囲内であれば成立後の会社に帰属する。

当該行為が発起人の権限の範囲外であるが、発起人組合の目的の範囲に含まれていると解される場合には、発起人組合に効果が帰属し全員が責任を負う。(ex.組合員7人中4人により組合を代理して締結した売買契約の効果)

発起人組合の目的の範囲外の行為であっても、発起人が独断で締結した契約については、発起人は117条類推適用によって責任を負う場合がある。

 

発起人組合とは

複数の発起人が存在する場合、発起人は会社設立を目的とする組合契約を結んでいると意思解釈され、設立に関する行為を当該組合契約の履行として行っていると理解される。

 

●設立無効事由

【論点】本件設立に設立無効原因はあるか。明文がなく問題となる
この点、設立が無効とされると会社の利害関係人に重大な不利益が生じることから、設立手続に重大な瑕疵がある場合にのみ無効原因が認められる
(例)
・定款の絶対的記載事項を欠く場合(27条違反)
・定款の認証を欠く場合(30条違反)
・発起人が1株も引き受けない場合(25条2項違反)
・出資される財産の最低額に達しない場合(27条4号違反)

 

●事後設立

 

【論点】事後設立の意義

・株式会社の成立後2年以内にその成立前から存在する財産であり、その事業のために継続して使用するものを、当該会社の純資産額の5分の1を超える対価で取得すること(467条1項5号、規則135条)

・現物出資や財産引受けの規制の潜脱を防ぐために、株主総会特別決議が要求される。

 

●払込みの仮装

 

【論点】仮装払込みは株式の払込みとしての効力を有するか。また、仮装払込みにあたるか否かの判断要素をいかに解すべきか(百選8)。

株式の払込は、設立にあたって資本の充実を図ることを目的とするから、現実に資金が獲得されなければならない。当初から真実の株式の払込として会社資金を確保する意図がなく、一時的に借入金を持って単に払込の外形を整え、株式会社成立の手続語直ちに払込金を払い戻してこれを借入先に返済する場合は、実質的には払込があったとはいえず、仮装払込みは無効である。

会社成立後借入金を返済するまでの期間の長短、払戻金が会社資金として運用された事実の有無、借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無など

判例の事案は、払込取扱機関からの借り入れではあったが現実の資金移動があったことから、見せ金と預合いの中間形態にあたるもの。

 

【論点】見せ金

定義:発起人が払込取扱金融機関以外から払込金額相当額の金銭を借り入れてその金銭を払込みにあて、会社成立後に、取締役となった元発起人が直ちに払込金相当額を会社から引き出して自身の借入金の返済に充てるもの。

 

★無効説(通説)

有効説

全体としてみれば、計画的な仮装払込みのためのからくりの一環であり、払い込まれた金銭を会社の資金として運用することが予定されていない。

また、現実に出資を履行した引受人がいる場合、引受人間の公平を害する。

借り入れた金銭を払込みにあてたり、会社成立後に発起人に資金を貸し付けることも個別的に見れば有効になしうる。

発起人の主観的意図によって払込みの効力は左右されず、取締役の損害賠償責任が問題になるにすぎない。

 

【論点】預合い

定義:発起人が払込取扱金融機関と通謀し、発起人が払込取扱金融機関から払込金相当額を借り入れ、発起人がその借入金を返済するまでは、会社は払込取扱金融機関から払込金を引き出さない旨の約束をするもの

見せ金と預合いとの相違点は、預合いの場合は現金の移動がなく、払込取扱金融機関の帳簿上の操作のみが行われるにすぎないこと、預合いは刑事罰で禁止されていること(965)である。

 

【条文チェック】仮装払込みに関わった者の責任

・仮装払込みをした発起人・引受人は、会社に対して、払込みを仮装した払込金額の全額を支払う義務を負う。(52条の2①102条の2①213条の2②ⅰ)

・仮装払込みに関与した取締役・発起人・執行役も、注意を怠らなかったことを証明しない限り、払込みを仮装した発起人などが支払うべき額と同額の金銭を、連帯して会社に支払う義務を負う。(52条の2②103条②、213条の3①)

 

【条文チェック】払込みが仮装された株式の成否

・仮装払込人は、支払義務を履行するまでは、株主の権利を行使することができない。(52条の2④、102条③、209条②)

・払込みが仮装された株式の譲渡を受けた第三者は、仮装払込みにつき悪意重過失のない限り、支払義務が履行されていなくても株主の権利を行使することができる。(52条の2⑤、102条④、209条③)

 

 

【論点】仮装払込みは、新株発行無効原因となるか。

 

★有効説

無効説

209条②は仮装払込人が支払義務を履行しなくても失権することとしていない。また209条③は株式の悪意重過失のない譲受人に株主権の行使を認めている。

・現物出資財産の不足や、不公正な払込金額の場合と同種の問題が生じるところ、これらの場合は無効原因とならないと解されてきたこととの均衡を図るべき。

・個々の株式に関わる瑕疵であって新株発行全体に共通する瑕疵ではないから、有効と解すべき。

・仮装払込みされた株式が善意無重過失の第三者に譲渡され有効に株主権が行使される危険を除去すべきであるから、新株発行無効の訴えを認めるべき。

 

スカルプターのための美術解剖学18頁

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18ページの写真を模写してから、覚えておきたい筋肉をメモしました。

 

こういう、モノクロで立体感を出す練習は、写真を見ながら描くより実物を見てデッサンした方がよさそうですね。

 

この本曰く、胸と大胸筋の境目のラインは、理解しておくとイメージに役立つそうです。

 

男性は、腹直筋の上から1段目と、肋骨の下の部分が重なる、というTIPSが載っていましたが、女性のこの写真では腹直筋の上から2段目と肋骨の下の部分が重なってるような?感じがしました。いまいちわからんポイントです。