法とイラスト

法律の雑記、イラストのアップ、ビールのレビュー等をします。

任務懈怠責任(423条・429条)

会社に対する任務懈怠責任423

 

【整理】423条責任の類型

善管注意義務・忠実義務違反

 1 経営判断原則違反

 2 取締役の監視義務違反監査役監査義務違反

 3 内部統制システムの①構築義務・②運用義務違反

法令違反・・・(決議を欠く重要財産処分など)

利益相反取引・競業取引

 

 

【論点】423条責任の要件

役員等

任務懈怠

損害の発生および額

任務懈怠と損害との因果関係

帰責事由(428条反対解釈。取締役側が立証責任を負う。)

 

 

第三者に対する任務懈怠責任429

 

【整理】4291項の要件

役員等に任務懈怠があったこと

任務懈怠につき悪意重過失

損害の発生

任務懈怠と損害との間の因果関係

帰責事由(428条反対解釈)

 

 

1 「役員等」について

 

【論点】選任決議を欠く登記簿上の取締役の対第三者責任(26)

 選任決議を欠く登記簿上の取締役は「役員等」にあたらない。もっとも登記を信頼した第三者の保護に欠ける。

そこで9082項の適用により、登記簿上の取締役は「役員等」でないことを第三者に対抗できないのではないか

ア 「不実の事項を登記した者」は登記申請者たる会社だから、登記簿上の取締役に直接適用できない

イ しかし同条項の趣旨は、不実の外観作出につき帰責性のある者の犠牲の下、これを信頼した者を保護するという権利外観法理にある

それならば、①不実の登記が存在し、②登記簿上の取締役が就任登記について承諾し、かつ③第三者が不実の登記であることについて善意である場合には同条項が類推適用され、登記簿上の取締役は登記が不実であることを第三者に対抗できず、その結果、自己が「役員等」にあたらないことを第三者に対抗できないものと解する

 

 

【論点】退任登記未了の辞任取締役の対第三者責任(26)

 辞任取締役は取締役ではないから「役員等」にあたらない。もっとも、登記を信頼した第三者の保護に欠ける。そこで9082項の適用により、登記簿上の取締役は「役員等」でないことを第三者に対抗できないのではないか

ア 直接適用はできない

イ 908条の趣旨は権利外観法理→①不実登記の存在、②辞任取締役の帰責性、③善意の要件を満たす場合には類推適用され、不実登記であることを第三者に対抗できず

ただし辞任取締役には登記を変更する権利も義務もないことから、不実の登記を残存させることにつき明示的な承認を与えていたなどの特段の事情が存在する場合に限り、同条項の類推適用を認めるべきと解する

 

 

 9082項:故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

 

【論点】名目的取締役の対第三者責任(26、事例1)

 取締役として正規の手続きを経て適法に選任されているから、「役員等」にあたる。

 そして、監督義務に違反しているから任務懈怠がある。

 もっとも、当該取締役に対し、具体的状況において監督義務を尽くすよう求めることが困難である場合には、任務懈怠と損害との間に因果関係がないとして責任は否定されるべきと考える。

 

 

 

 

2 「任務を怠った」について

 

【整理】会社に対する任務懈怠の有無

 

法令違反および善管注意義務違反

 

ケース

 

実質的債務超過であり倒産寸前の状態にあるときに、新たに取引関係に入った場合

払えないことが確実というときには、直ちに清算手続きをとるという義務を会社に対して負う。よって善管注意行為となって任務懈怠

(なぜそのような義務を負うのかが不明であるという批判がある。倒産寸前状態で第三者と取引行為に入ることが不法行為を構成し、法令違反にあたるから任務懈怠、とする少数説もある)

経営は良好とはいえないものの何事もなければ代金支払いは可能であったが、投資家の大半は早期手仕舞いをするようなリスクの高い投資を増やしたため、損失が膨らみ、倒産状態となった場合

善管注意義務の一内容として、経営状態が悪化してきた場合には経営状況を確実に把握し、悪化の原因の分析、今後の収益の見通し、資金繰りの計画、経営改善のための対策の立案、実行など必要な措置を講ずる義務を負う

経営が相当悪化していたが再建不能ではないという状態のときに、財務部長の提案を全く検討せず、はっきりとした見通しのないまま、自己の経営判断を行って倒産状態となった場合

経営判断原則→情報収集・検討を怠った→決定の過程に著しく不合理な点があった→任務懈怠あり

 

 

 

【論点経営判断原則(演習上1)

かかる経営判断善管注意義務・忠実義務違反に違反するか。その判断基準が問題となる

 この点、経営判断不確実かつ流動的で、複雑多様な諸要素に基づく総合的判断である。また、企業経営は利益獲得を目的とする以上、一定のリスクを伴うことは避けられない。それにもかかわらず、常に事後的な判断により責任を問われるとすれば取締役の判断が萎縮し、企業の発展が阻害されるおそれがある

 そこで、当該行為がなされた答辞における会社の状況および会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見および経験を基準として、前提としての事実認識に不注意な誤りがなかったか、及びその事実に基づく行為の選択決定に不合理がなかったかという観点から、当該行為をすることが著しく不合理である場合には善管注意義務、忠実義務に違反すると解する。

 

(短文)

「決定の過程、内容著しく不合理な点がない限り善管注意義務に違反するものではない。」

 

「当該行為がなされた当時における当該会社の属する業界の平均的経営者を基準として、判断過程および決定内容に著しい不合理があるか否かによって決すべき」

融資業務に関する注意義務につき、銀行業は一般事業会社よりも高度の水準が課されるものとされている。

 判例が挙げる理由は、①銀行業が広く預金者から資金を集めこれを原資として企業等に融資することを本質とする免許事業であること、②銀行の取締役が金融取引の専門家であり、知識経験を活用して融資業務を行うことが期待されていること、③銀行が経営破たんすると社会一般に広範かつ深刻な影響を及ぼすこと、である。

 

 

【論点】法令違反行為と任務懈怠

取締役は忠実義務の内容として、法令を遵守する義務を負う。したがって、自らが法令に違反した場合はもちろん、会社に法令違反をさせるような業務執行をした場合も「任務を怠った」ことになる。

 

 ※すべての法令について遵守しないことが任務懈怠となる。なお、かつては、特定の法令に違反した場合のみ任務懈怠になるという見解も存在した。

 

 

 

3 悪意重過失の対象、損害の範囲について

 

【論点】悪意重過失の対象、および損害の範囲 (25)

この点4291項の責任は、株式会社が経済社会において重要な地位を占め、しかも株式会社の活動は取締役の職務執行に依存するものであることから、第三者保護のために法が特別に認めた責任(法定責任説)と解される

そこで会社に対する任務懈怠について悪意・重過失が損すれば足りる。

また、損害の範囲も広く解して、間接損害も「損害」に含まれると解する。

 

会社に対する任務懈怠があるかどうかを丁寧に考える必要がある。判例は、代金の支払いの見込みなく取引に入ることが任務懈怠に該当するとするが、取締役が取引相手に損失を被らせない義務を会社に対して負っているかは疑問である。

 

 

【定義】直接損害、間接損害

直接損害:会社が損害を受けたか否かを問わず取締役の行為によって第三者が直接被った損害

間接損害:第一次的に会社に損害が生じ、その結果第二次的に第三者に生じた損害

 

4 「第三者」の意義

【論点】株主は、持株の価値が低下したことを理由として429条責任を問うことができるか。「第三者」に株主が含まれるかが問題となる。

原則として含まれない(通説)

会社が損害を回復すれば株主の損害も救済される。また、代表訴訟のほかに個々の株主からの損害賠償請求を認めると会社に二重の責任を課すことになる。したがって、株主がこうむった間接損害については代表訴訟によるべきである。

(※ただし、取締役と支配株主がいったいである閉鎖会社の場合、代表訴訟による救済のみでは、加害が繰り返され実効的な救済にならないおそれがあるため、この様な場合は株主による損害賠償を認めるべき。)

 

 

 

【論点】子会社の監督義務

親会社の取締役が子会社の業務執行から発生した損害について任務懈怠責任を負うか。(リークエp235、シ28)

この点、親会社と子会社は別法人であり、子会社の業務に関する責任はもっぱら子会社の取締役にある。そうだとすると子会社の取締役の結果親会社にも損害が生じた場合、親会社の取締役は責任を負わないとも思える。

しかし子会社の株式は親会社にとっては財産であるから、かかる財産の価値を維持するため、親会社の取締役は一定の範囲で子会社について監視する義務を負っていると考えられる。

したがって、かかる監視義務を怠った場合には親会社の取締役は任務懈怠責任を負うものと解する。

()

しかし親会社と子会社の特殊な資本関係にかんがみ、親会社取締役が実質的に子会社の意思決定を支配したと評価しうる場合であって、かつ親会社取締役の指図が親会社に対する善管注意義務に違反する場合、任務懈怠責任が生じると解する

 

 

【論点】従業員の引き抜き

取締役は、退任後においては競業避止特約がない限り、自由に競業取引を行うことができる。そうだとしても、取締役在職中に、自己が設立する予定の会社に従業員を勧誘することは、忠実義務に違反し「任務を怠った」といえないか。(20)

忠実義務に違反するかどうかは、退職従業員と取締役との関係、会社に与える影響の度合いなど諸般の事情にかんがみ、不当な態様の勧誘か否かにより個別具体的に判断すべき

 

 

 

競業取引・利益相反取引

競業取引(35611)

 

【論点】競業取引が出題された場合の処理工程

「自己または第三者のために」の計算説の論証・認定。 

自己と第三者のどちらに経済的利益が帰属するケースかの認定も忘れずにすること。

 

目的物と市場(地域・流通段階)の競合する取引の論証・認定。 

当該行為がそもそも「取引」といえるかという点にも注意すること。ただ他社の取締役に就任したとか、従業員を引き抜いたとかいう行為はそもそも競業取引ではない。

 

4232(「当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額」)の適用。 

当たり前だが、競業取引をやったからこそ得られた分、が損害額になる。前年の利益が200万だったが、今年は競業取引により1000万円になった、という場合、損害額は800万となることに注意。

 

株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)に重要な事実を開示し、その承認を得たか

 

 

【条文】条文の内容はおぼえてしまおう

3561

取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

取締役が自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

 3651

取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

 

 

【論点】競業取引にいう「自己または第三者のために」の意義(計算説) (20、事例10)

 この点につき、会社の利益を保護するという競業取引規制の趣旨から、取引の名義という形式的基準ではなく、経済的利益の帰属という実質的基準により判断すべきである。

 そこで「自己または第三者のために」とは、自己または第三者の計算において(経済的利益を帰属させる)取引する場合をいうと解する。

 

 

【論点】「事業の部類に属する取引」の意義(事例10)

 この点、35611号の趣旨は、取締役がその地位を利用して会社の取引先を奪うなど、会社に損害を与えることを防止する点にある。

 かかる趣旨から「事業の部類に属する取引」とは、会社が実際にその事業において行っている取引と目的物と市場(=地域・流通段階等)が競合する取引をいう

そして、会社が現に行っていなくても、進出のための準備を進めている事業については競業取引にあたる。

 

【論点】次の行為は競業取引になるか???

完全子会社の代取に就任すること

子会社の利益が親会社に帰属する関係にあるから、利益衝突をきたす可能性はない。

競合他社の取締役に就任すること

就任するだけでは「取引」ではないだろう。

社員を引き抜き他社に転職させること

「取引」ではないから、競業取引ではない。

不当な態様で行った場合は忠実義務違反の問題になる。

 

 

利益相反取引(35612号、3)

 

【論点】「自己または第三者のために」(名義説) (事例10)

 (この点現行法では、会社が取締役以外の者との間で、会社と取締役の利益が相反する取引をする場合には間接取引として規制されるから、)「自己または第三者のために」とは、自己または第三者の名において取引する場合をいうと解する。

・「自己のために」:取締役自身が会社の相手方となる場合

・「第三者のために」:取締役が他の自然人・会社を代理・代表する場合

 

 

【論点】間接取引の意義

 会社が取締役の債務を保証すること、担保を提供すること、引き受けること等が間接取引にあたることは争いがない。ではどのような行為まで間接取引に含まれるか。

 この点、会社と第三者との間の取引であって、外形的・客観的に会社の犠牲で取締役に利益が生じる行為をいう(江頭)

 

解説中の定義

間接取引:実質的に会社と取締役との間に利益の衝突があるもの

 

 

【論点】利益相反取引にあたる場合の効力 (事例10)

 

直接取引

間接取引

無効:利益相反取引規制の趣旨から原則無効。

 (※取締役会の承認を受けた利益相反取引においては、民法108条の規定を適用しないとする3562項の反対解釈により、その承認を受けないでした行為は無効となるという説明がある。ただし、利益相反取締役が会社を代表した場合の効力が無効となるというところまでしか導けない。)

相対的無効:会社財産を保護するという趣旨から、取締役会の承認を経ない利益相反の効力は原則として無効とすべき。

 しかし、相手方、または第三取得者が、当該取引が利益相反取引にあたることや、取締役会決議を経ていないことについて知らない場合にまで当該取引を無効とするのは取引の安全を害し妥当ではない。

 そこで、会社は相手方、または第三取得者の悪意を主張立証してはじめて当該取引の無効を主張できる。

 

 

【論点】利益相反取引の相手方は取引の無効を主張することができるか?

できない。(最判昭和481211)

利益相反取引規制は会社の利益を保護するためのものであるから。

 

 

【論点】利益相反取引がなされた場合の任務懈怠責任の処理

 

4233項により、以下の取締役は任務懈怠が推定される

3561項の取締役

当該取引を決定した取締役(=会社を代表した取締役?)

取締役会の承認の決議に賛成した取締役

・これらの取締役は任務懈怠の推定を覆さない限り、任務懈怠責任を負う。

・「自己のために直接取引をした取締役」は、「責めに帰することができない事由」によることをもって責任を免れることができない(4281)

 

 

 

自己のために直接取引をした取締役

任務懈怠の推定された他の取締役

学説1

(立案担当者の見解)

・「任務懈怠がなかったこと」を主張立証することにより免責されうる。

・任務懈怠があった場合、「不可抗力であること」をもってしても責任を免れない。

・・・十分な注意義務を尽くしたかという問題か、不可抗力であったかという問題かの分類の基準が定かではない。

・「任務懈怠がなかったこと」を主張立証することにより免責されうる。

・任務懈怠があった場合でも「不可抗力であること」をもって免責される。

学説2

・「会社に損害を生じさせる直接取引を行うこと」自体が任務懈怠にあたる(結果債務)

したがって、十分な注意義務を尽くしたこと(=過失がないこと)をもってしても免責されない。

・「任務懈怠がなかったこと」を主張立証することにより免責されうる。

・任務懈怠があった場合でも「不可抗力であること」をもって免責される。

 

 

【論点】一人会社において、取締役会の承認決議を欠く利益相反取引がされた場合 (事例10)

 

利益相反取引につき取締役会の承認が必要とされている趣旨は、会社の利益保護にある。

そうだとすれば、一人会社の場合に株主がそれに同意している場合、一人会社でなくとも株主全員が合意している場合には、取締役会の承認がなくても当該取引の効力は有効となると解する。

 

 

 

 

内部統制システム

内部統制システムについて最低限抑えておくべきと思われること(事例17、演習6-Ⅰ)

 

【論点】内部統制システムに関するスーパー基本知識

大会社で取締役会設置会社の場合は、内部統制システムの大綱(基本方針)を取締役会で決定することが義務付けられる(36246号、5)

・内部統制システムの具体的な決定事項は規則100に列挙されている。

 

 

【論点】内部統制システムの構築義務・運用義務の違反になる場合

①取締役会において、仮に内部統制システムを設けないと定めても直ちに362条違反になるわけではない。ただし、内部統制システムを設けないことが会社の実情に照らして不合理な場合には善管注意義務違反となる(極めて例外的場合)。どのような水準の内部統制システムを定めるかは経営判断にゆだねられる。

 

②内部統制システムの目的は企業の違法行為を早期に発見または予防し、会社の利益を図る点にあるが、内部統制システム構築義務はあくまで不祥事を防止するために最善を尽くす義務であって、不祥事があったからといって直ちに義務違反となるわけではない。また、発生前にすべての不祥事を未然に防止するための万全の体制を整えることは不可能である。さらに、取締役は自己の担当する部門について内部統制システムの構築義務を負うのであって、他の取締役が適切に職務を遂行していることを信用して職務執行にあたることには合理性がある。そこで、取締役が従業員等の不正につき疑念を差し挟むべき特段の事情があったのに適切な措置をとらなかった場合に限り、善管注意義務違反となる。

 

会社法総論

【論点】会社法9条 名板貸責任(2、演習下6章Ⅹ)

商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾

「誤認して」・・・善意無重過失。継続的契約については、契約期間中にも誤認は必要

(※「誤認」の立証責任は第三者、重過失の立証責任は会社)

取引・・・権利外観法理の趣旨から、営業に必要な業務員の雇い入れ行為も含まれる

 

 

【論点】名板貸責任が成立するには、名板借人が名板貸人と同種の営業を行っていなければならないか。

趣旨は権利外観法理

同種の営業をしていなければ第三者の信頼も生じない。

特段の事情がない限り、同種の営業を営む場合に限られる。

 

 

【論点】定款記載の目的の範囲(演習上1)

会社の権利能力は定款に定められた目的によって制限されるか。会社にも民法34条が適用されるかが問題

この点、会社も法人である以上34条は適用される

しかし、定款の記載を厳格に解して、事業活動をその範囲に限定すれば、会社と取引を行う第三者は取引に際して定款の目的を調査する必要が生じ、取引の安全を害する。そこで、「目的の範囲内」の行為とは、目的遂行上直接または間接に必要な行為をいうと解する。そして目的の範囲は、定款の記載から客観的に判断すべきである。 ※公益団体への寄付→会社の評判が上がりブランド価値があがる、よって目的の範囲内にある。

 

 

【論点】法人格否認の法理

独立の法人格を持つ会社において、①その形式的独立性を貫くことが正義公平に反すると認められる場合に、②特定の法律関係に限って会社の独立性を否定し、④会社とその社員を同一視する法理

 

そもそも会社に法人格が付与されるのは、会社が社会経済上有用な団体であり、法人格を付与することが国民経済上有益であるからである

とすれば、①法人格が法律の適用を回避するために濫用される場合や、②法人としての実体がないような場合には、かえって国民経済上不利益となるから、権利の濫用(民法13項)として法人格を否定すべきと解する

 

 

【論点】濫用事例

背後者が会社に対して支配的地位にあり

法人格を利用して契約上の義務や法の適用を回避しようという違法な目的を有すること

 

 

【論点】形骸化事例

形骸化とは、会社の実質がまったくの個人企業といえる場合をいう。

その判断にあたっては、

業務活動混同の反復・継続(業務活動)

会社と社員の義務・財産の全般的・継続的混同(義務・財産)

明確な帳簿記載・会計区分の欠如(帳簿・会計)

株主総会・取締役会の不開催等、強行法規的組織規定の無視(強行法規)

といった事実の存否を考慮してなされるべき。

 

 

 

百選3の事案の事情

まったくの個人企業であったこと

貸主Bとしても「電気屋」のAに賃貸したつもりであったこと

Aも個人名義の書面をBに差し入れていたこと

AとBは明け渡す旨の和解をしたこと

 

弁護士の仕事をみて感じた正直な感想

今週、また別の事務所にインターンにいっていました。

 

〇企業法務のイメージについて

これまでの私の中の企業法務に対するイメージは、一般市民とは距離を置いたスーパーエリートたちで構成されるリーガルコンサルタントたちが激しい競争を繰り広げている、資本主義のトップに君臨する大企業経営者すなわち強者の味方をする、またM&Aや金融などの個人的に何の興味もわかなければ何がおもしろいのかもわからない分野ばかりやる、という感じでしたが、そういうイメージはちょっと変わりました。

 

たしかにエリート揃いなのは事実でしたし、中には一般民事のかったるい仕事なんてやってられないという人もいくらかいましたが、企業法務も必ずしも強者の味方をするわけではないことを知りましたし、他の弁護士や官公庁、企業の人たちとさかんに折衝をする必要があって、人と人とのつながりをとても大切にする仕事なのだなと実感しました。また、M&Aなどは、業界構造や企業構造、世の中の仕組みを明らかにしていく過程でこれまで知らなかったたくさんのことを知る機会を得ることができ知的好奇心を非常に満たしてくれる仕事なのだなと感じました。

 

〇労働時間について

どうも、企業法務系の法律事務所の方々を見ていると、ワーカホリックの人が多いような気がします。朝10時から終電まで毎日働いても、むしろそれが楽しい、という感じの人々です。

 

誰かに必要とされること、誰かの役に立てること、自分にしかできないことが増えること、自分が頼りにされることは確かに大きな喜びになるのだろうなと思います。

また、私自身働きたくないわけではなくて、むしろ早く働いて独り立ちしてお金を稼ぎたいと思っています。それは、親にこれ以上頼りたくないし、独力で生活のためのお金を稼ぐことのできる人に憧れをもっているからです。

 

ただ、仕事とは、第一義的には「生活のためのお金を得るために半ば仕方なくやる必要があるもの」だと私は考えています。そして、無理をして高給な仕事をする必要はないと感じています。

 

なぜなら、彼らのような激務をしていては、それ以外のことをやる余裕がなくなるに違いないからです。

 

私は学びたいことを学び、自分の美的な感性と技術を磨くことを人生の目的だと考えていて、やがては人に認められるような作品を作ることを人生の目標としています。

  

法律事務所の方々に私の趣味などをいうと、だいたい反応がわかれます。一つのパターンは笑顔で「おもしろいね!もっと聞かせて!」というような反応。もう一つのパターンは「ふ~ん、まぁそういうのは今のうちに楽しんでおいたらいいよ。働き始めたらそんなのぜんぜんできないから。」という反応。

後者の方は後者の方なりの人生観があり、おそらく幸せなのだろうと思います。ただ、年収3000万円プレイヤーを目指している人とか、特定の分野の第一人者になるため仕事のみに明け暮れている人とは、仕事に対する考え方や人生の目的が私と異なっていて、何となくそりが合わない感があります。

 

どういう仕事をするか以前に、どう生きたいかが先にあるはずであって、生き方と矛盾する仕事はできないだろうなというのが正直な感想です。

外資系法律事務所にインターンに行ってきた話

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表題のとおり、外資系法律事務所にインターンに行ってました。

 

法律事務所には、相続問題や債権回収、離婚などといった市民トラブルの相談を受け付ける「一般民事」事務所というカテゴリと、企業間のグループ再編や企業の顧問、労務管理、契約締結の支援などを中心に行う「企業法務」事務所とがあります。どちらも扱っている事務所もたくさんあるものの、一般的に、一般民事は規模が小さく事務所数は多い一方で、企業法務は規模は大きいものの事務所数は少ないといった特徴があります。

 

今回私がいったのは後者のタイプのものでした。

やったことは、M&Aの会議を横で聞いたり、いろんな弁護士の方とお食事に行ってインタビューをしたり、デューディリジェンスの資料を読んで感想をいったり、事業提携・金融・建物管理委託契約などの英文契約書の和訳やレビューをしたりなどでした。

 

企業法務の特徴

大手の企業法務の特徴をまとめると、

①仕事のバリエーションが多いこと

②国際案件や数億~数十億円規模の取引案件など、大規模の仕事が多いこと。そのため、複数人の弁護士が分業してチームで仕事をすること

ビジネスパーソンどうしで仕事をするため、話の通じない客を相手にしなくてもいいこと(これは弁護士の方々がよく言っていました)

④給料は平弁護士でもタイムチャージ2~3万円/hで、給料がかなりいいこと

⑤一流の弁護士がそろっていて学ぶ環境があること、

⑥労働時間が長く往々にして激務でありワークライフバランスが取りにくいこと

⑦創造性や独創性よりも、スピードと正確さが求められる仕事であること

などのようです。

 

私のやりたいこと

インターンを経験して、本やネットでは得られない知識をたくさん知れたことは本当によかったなと思う一方、仕事の内容にはあまり興味を持てませんでしたし、もともと一般民事志望の私はちょっと合わないかなと思いました。

今私がやりたいと考えているのはいくつかあって、具体的には

・組織内いじめの解決(学校でのいじめ、職場でのセクハラ、モラハラなど)

・労働者の権利擁護

・コンテンツビジネス・エンターテイメント法務

ベンチャー支援

などです。これらを専門にしつつ、関連する諸分野もまんべんなく学べる、そして日々に忙殺されて主体性を失わずに生きられるような事務所を選んでいきたいと思っています。

 

カイジにでてくる利根川も似たようなことをいっていますが、人生は労働をしている時間が大部分を占めています。そうであるなら仕事≒人生と言い換えることもできます。よく生きるために、仕事においても自分の納得いくものを選びたいなと考えています。

「漫画家がつくった1/6可動デッサンドール」を買ってみた

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漫画家がつくった1/6可動デッサンドール - DMM.make クリエイターズマーケット

 

人体を描くときの参考にと購入しました。

 

最近は、パソコン上で動かせる3Dモデルソフトがたくさんあります。たとえば、お絵かき用の3Dモデルソフトの「デザインドール」、初音ミクなどのキャラを躍らせる「MMD」、自分で理想の女の子をカスタマイズすることのできる「カスタムメイド3D2」、またペイントソフトの「クリップスタジオペイントプロ」の内蔵ワイヤーフレーム人形など。私もデッサンドールやカスタムメイド、クリップスタジオは導入済みですし、時々ポーズをとらせてみて参考にします。

ただ、こういったソフトの難点としては、マウスでポーズをいじるのが案外面倒であること、結局画面越しの画像になるため、実物を見て立体を描く力が付きにくいこと、物理的にありえないポーズになってしまう場合があること、3Dを動かすためある程度のマシンスペックが必要なことなどがあります。

そこで実物のデッサン人形が必要になってくるわけです。

 

デッサン人形にはよく見る木製のやつのほかに、フィグマのものやファイセンのものなどいろいろありますが、プロもこのデッサンドールを使っているとのことだったのでこちらを購入しました。

 

購入を迷われている方のために、メリットとデメリットをまとめておきます。

〇メリット

・パーツの可動域がとても広い。

・結構でかくてポーズをとらせやすい。

・軽くて丈夫そうな感じである。接続部も、むちゃな使用をしない限り当分劣化せずに使えそうである。ざらざらした紙粘土のような材質(ナイロン)

・これ以上ないくらいいい形のおっぱい(巨乳)である。

 

✖デメリット

・自分で組み立てる必要がある。購入ページを見ればわかるが、不気味な様相のパーツ集合体が送られてくる。説明書はなくpdfの図を見て組み立てる。組み立てには小型のニッパーとやすり、カッターなどが必要。ただし組み立て難易度は高くない。

・パーツに、凸凹したきれはしが若干残る。カッターとやすりで頑張れば一応取り除ける。

・自立しないため、6分の1ドール用のスタンドが必要となりそう(未購入。アマゾンで300~700円程度か)。

・腕や足は360度回転するため、それら各パーツの正面がどこかがわかりにくい(ワイヤーフレームのような印を自分で付ければよいかもしれない)。

・ポーズをとらせるうちに時々腕がとれる。ただし我慢できないほど頻繁ではない。

・値段が高い。

 

個人的に、総合的な満足度としては★5つ中4つ星くらいでした。