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ドラマ『愛してたって、秘密はある。』の法的考察

 

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7月16日から、『愛してたって、秘密はある。』というドラマが始まるようです。

主人公の男性は26歳の司法修習生ですが、過去に自分の父親を殺害しており、それを公にしておらず、恋人にも隠している・・・、というところから始まる話みたいです。

ちょっとだけ設定を考察してみます。

1.少年法は適用されない

 2.で後述するとおり、主人公の行為は犯罪にあたります。そして、もしすぐに罪が発覚していれば、主人公は「罪を犯した少年」(少年法3条1項1号)として、家庭裁判所の審判に付されていたはずです。しかし、少年法は審判の時に少年である者をその対象としているところ、すでに主人公は26歳となっており「少年」(少年法2条1項)にはあたりません。したがって、少年法は適用されず、一般の刑事手続によって処理されます。

  なお、14歳未満は刑事未成年となり犯罪が成立しません(刑法41条)が、本件は15歳のときの犯行ということで、刑事未成年にはならないように留意されていますね。

2.成立する犯罪

 予告映像を見る限り、(おそらく頭部?を)鈍器の角で殴り父親を殺害しているので、殺人罪(刑法199条)の構成要件に該当します。母親が父親に襲われているところを助けるためになしているので、正当防衛(35条1項)として違法性が阻却されて無罪になる可能性もゼロではないです。が、殺傷能力の高い鈍器で殴ったとなると防衛のために必要最小限度の行為とはいえず、相当性を欠く結果、過剰防衛(35条2項)となりそうです。そうなると、有罪判決が言い渡されるとともに、罪が減免される可能性が高そうです。なお、殺人罪には公訴時効はありません。

 

 殺害後、遺体を埋めたことについては、死体遺棄罪(190条)は成立します死体遺棄罪の法定刑は「三年以下の懲役」であり、「人を死亡させた罪であって禁固以上の罪にあたるもの以外の罪」のうち「長期5年未満の懲役又は禁固にあたる罪」なので、3年の公訴時効にかかります(刑事訴訟法250条2項6号)。

 本件ではすでに事件から11年経過しており公訴時効が完成しているので、死体遺棄罪で起訴されたとしても免訴(刑事訴訟法337条4号)になりますね。

 

3.確かに秘密にしないとまずい

 

  上述のとおり殺人罪が成立し過剰防衛ということになると、司法試験に合格した弁護士志望の司法修習生にとって一大事となります。というのも、弁護士法7条1号は弁護士の欠格事由として禁錮以上の刑に処せられた者」をあげているからです。

  うーん、こういう場合懲役刑となるのかどうかは微妙ですね。量刑判断の実務感覚は(当然ながら)まだよくわかっていません。確かに殺人は極めて重い罪ですが、年少の少年が母を守るためになしたものとみえるので、かなり酌むべき事情があるんじゃないの、という感じがしました。