法とイラスト

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欲望

1欲望の効用

私は、自分の中に自然に湧き上がる感情、欲求、心のドライブ感(以下「欲望」という。)は大切にするべきだと考えている。

 

なぜなら、‪欲望は人間のすべての行動のきっかけであり、同時にエネルギー源でもあって、自分の潜在能力を開化させたり、最大限のパフォーマンスを実現するために不可欠となるもの‬だからである。

 

また、欲望は人それぞれが固有に持つものであるから、欲望によってその人の個性が生まれる。欲望を持つことによって自分らしく生きることができる。


欲望は、自分の気づかないうちになくなってしまう可能性のあるものでもある。したがって、自己の内面に押し寄せた欲望の波には、押し寄せたそのタイミングでうまく乗らないといけない‬。

 

2欲望の弊害

しかし、欲望はよくないものとして語られることがある。

たとえばマイナスイメージを伴う語として「強欲」、「欲深い」、「底なしの欲」などという言葉がある。また「物欲」という言葉からもあまりいい印象を持つ人はいない。

なぜか。その理由としては、①欲望にはさまざまな種類があり、中には低俗な欲望があること、②人間の欲望には終わりがなくいつまでも満たされることがないこと、また③欲望に身をゆだねると周囲に害を及ぼす恐れがあることが考えられる。

 

第一の点として、欲望にはさまざまな種類があり、心理学者や哲学者、宗教によってさまざまな区分がされる。では、このような欲望に尊重されるべき高尚な欲望と、捨てさるべき低俗な欲望はあるか。

マズローは、人間の欲求は「生理的欲求」「安全への欲求」「社会的欲求」「自我欲求」「自己実現欲求」の順に5つの階層をなし、低次元の欲求が満たされて初めて高次元の欲求へと移行するとする欲求5段階説を唱えた。

この点は、確かにマズローのいうとおりであって、欲望は高次元と低次元のものに区分できる。しかし私は、欲望自体に高尚・低俗はないものと考える。なぜなら、欲望は心のうちに自然に芽生えるものであり、そこから生じる行動に善し悪しはあっても、人の心のうちに善し悪しをつけることはできないからである。また、あらゆる欲望は、その人次第で善い行動へと転化させることができるはずである。そういうわけで、低俗な欲を持っているといって憂いたり、高尚な欲を持たねばならないなどと自分に言い聞かせる必要はない。欲は無色透明である。ただし、欲望から生じる行動には善し悪しがあるから留意する必要がある。

 

第二の点として、欲望はいつまでも満たされないものであるであるが故に苦悩を生む。このような欲望は捨て去るべきものではないのか。

一般に仏教では欲を捨てることによって悟りにいたるといわれる。

しかし、上述のとおり欲望はすべての行動のきっかけであり燃料でもあるから、人間であれば持つのが当然のものであり、かつ捨ててはいけないものである。そもそも、欲を捨て去って悟りに至りたい、至らねばならないと考えること自体が欲望である。人間は苦悩するしかないし、むしろ苦悩すべきであると私は考える。

 

第三に、欲望はコントロールしなければ往々にして他者に害を及ぼす。そのためには節制が必要となる。欲望の効用を盾にして節制を怠り、結果として他者に害をもたらすことは正当化されない。またそうすることによって自らの社会生活を困難にし、身を滅ぼすことにもなる。

 

3まとめ

欲望はすべての行動の端緒であって、燃料である。欲望が芽生えたその機を逃してはならない。

欲望自体は無色透明であって、人である以上捨て去ることができるものでも捨て去るべきものでもない。しかし、行動には善し悪しがある。

社会生活を営む上では、欲望に身をゆだねるだけではなく欲望を適切にコントロールすることが重要である。