合併比率の不当

 

合併比率が不当な場合、株主が取りうる方法として検討すべき事項(問研35、予備25)

効力発生日前

情報収集

・・・合併契約書の閲覧等請求(782条3項、1項1号)、会計帳簿の閲覧謄写(433条1項)、計算書類等の閲覧等(442条3項)

 

吸収合併等をやめることの請求(784条の2)+株主総会取消訴訟の提起+仮処分の申立て(民事保全法23条2項)

784条の2

「次に掲げる場合において、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、消滅株式会社等の株主は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。ただし、前条第二項に規定する場合は、この限りでない。

一 当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合

二 前条第一項本文に規定する場合(※存続会社が特別支配会社である場合)において、・・・(※合併比率に関する事項)が・・・著しく不当であるとき。」

合併比率の不公正1号にいう法令定款違反ではないし、存続会社が特別支配会社でない場合には2号にもあたらないから、差止事由にはあたらないと解される。

一方、株主総会決議の瑕疵は法令違反であり差止事由にあたる。

・・・組織再編系の問題では、合併契約の株主総会承認に、当事会社が参加しているパターンが多い。この場合は、株主たる存続会社が「特別の利害関係を有する者」(株主の資格を離れた個人的利害関係を有する者)にあたり、著しく不当な決議がされたことを認定する。

 

反対株主の株式買取請求(785条2項)

 

効力発生日後

合併無効の訴え

・決議取消の訴えか合併無効の訴えかどちらを提起すればよいか問題となるも、効力発生後は画一的手段として法的安定性を図るため、合併無効によるべき(吸収説)

もっとも決議取消の提訴期間(3ヶ月)を超えることはできないと解する

 

・無効原因につき明文がなく問題となる

法的安定性を図るため無効原因は重大な瑕疵に限られる

合併比率の不当性は、事前に株式買取請求をすることによって治癒できるし、交換比率算定の基礎となる企業価値の算定が困難であることから、無効原因にならないと解すべき

(また、784条の2は、消滅会社が存続会社の特別支配会社である場合のみ合併比率の不当性が合併の差止事由となる旨規定していることからも、そうでない場合には無効事由にもならないと考えるべき)

もっとも、特別決議を欠くことは重大な瑕疵といえ、無効原因となる

 

4291項に基づく損害賠償